はじめに
世界樹の迷宮Ⅱ 諸王の聖杯 HD REMASTER (Switch版)を遊びました。
世界樹の迷宮Ⅱは面白いなあ、これは新世界樹Ⅱでは変わっているなあ、ということを書いた感想記事です。
なお、筆者は世界樹の迷宮シリーズをある程度の本数*1プレイ済です。
(この記事には 世界樹の迷宮Ⅱ 及び 新世界樹の迷宮Ⅱ のネタバレが数多く含まれます)
- はじめに
- 新システム「フォース」
- 回復アイテムが強すぎる
- クエストが凝りすぎ!!!
- 磁軸の柱で探索が便利になる……?
- 職業限定の抜け道
- F.O.E.のマップギミック化の進行
- 治療しかできない施設、公国薬泉院
- その他気になったところ
- 街は栄え、冒険者は去る
新システム「フォース」
Ⅰに登場する、ゲージを溜めてスキル等の強化をするコマンド「BOOST」。
それに代わり、Ⅱでは新たに「FORCE」が登場した。
戦闘中の行動によってフォースゲージが溜まり、100まで溜まると強力なスキル「フォーススキル」を使うことができる。いわゆる「必殺技」。
フォーススキルは職業によって異なるが、どの職業も強力なスキルを使用できる。
職業ごとの個性が増す、面白いシステム。
フォースゲージが溜まらない!!!
……確かに面白いシステムなのだが、それは使えたらの話。
フォースは以降の世界樹シリーズに登場する○○ゲージと比較すると、明らかにゲージが溜まりにくい……。
1回の探索で100まで溜まる頃にはアイテム欄が素材で埋め尽くされ、そして街に戻ると0に戻ってしまう。結果として、フォーススキルを使う機会はなかなか訪れなかった。
しかし、フォーススキルはどれもが強力。単純に比較するのは難しいが、性能だけで見るとⅢのリミットやⅤのユニオンで考えて4~5人相当、Ⅳのバーストで考えると4~5本相当の強さをしているため、簡単に使えてしまっては戦闘バランスが崩壊してしまいかねない。
普段の探索で使うものではなく、ボス戦やF.O.E.戦で戦術を練って使うもの、あるいは救済用と想定されているのではないだろうか。
アクセラとFORCE↑
フォースゲージは、普通は簡単に溜まるものではない。
しかし、アクセラ・アクセラⅡを使用したり、FORCE↑武器を装備したりすると凄まじい速度で溜まる。バランスが壊れるだろ!!!
新世界樹Ⅱではフォースブースト・フォースブレイクに
私は旧Ⅱより先に新Ⅱを遊んだため、新Ⅱプレイ時は旧Ⅱのフォース相当のものであるフォースブレイクが1探索で1回しか使えないことを疑問に思っていた。
旧Ⅱのフォースは1度使っても、またフォースゲージを溜めれば再度使用できるのに、それを変えてしまうのは改悪ではないのかと思っていた。
しかし、実際に旧Ⅱを遊んでみると、「溜めようとしない限り1探索で2度も溜まることは無い」ことがわかった。
新Ⅱではフォースを戦略に組み込みやすくしつつも、旧Ⅱと同じような性能が保たれていて良い調整ですね。
回復アイテムが強すぎる
世界樹Ⅱでは回復アイテムが以降のシリーズよりはるかに強い。
全体全回復のソーマⅢ、全体状態異常回復のテリアカβオールもそうだが、特筆すべきはネクタルオールⅡ。
名前から既にヤバそうな予感がするが、その性能は想像通り、戦闘不能者全員をHP全快で蘇生するというもの。強すぎでは?????????
とは言え、もちろんそれらのアイテムは品切れ有りのもの。それも、素材の一つにボスのドロップ品を要求する。
なら大丈夫か……?と思ったら、その下位種は品切れ無しで気兼ねなく使える。下位種でも十分強いのに???ネクタルオールも品切れ無し???
ただ、回復アイテムを常用するのは資金的に難しいものではあるし、これくらい強ければメディック・ドクトルマグスといった回復要員を採用しないパーティでの攻略もしやすいだろう。
あまりに回復アイテムが強すぎるとメディックを採用する意義が薄れてしまうが、パーティ編成に幅を持たせるためにこのような調整にしているのだろうか。
クエストが凝りすぎ!!!
世界樹Ⅱは、他の世界樹シリーズに比べて手の込んだクエストが明らかに多い。
金細工の駒を巡る「麗しくも強き女王の駒」関連はその典型例であるが、それだけに限らない。
- 仲間が戦闘不能になると失敗するクエスト(「樹海の歪」等)
- 場所がノーヒントの状態で「鈍く光る石」を集め、その内の特定の場所で集めたものだけが報酬に関わる「美しき公女の為に」
- 受注可能になった段階では行けない正解の場所を選ぶことで真相がわかる「豪傑の過去」
- 手がかり無しの状態からギルド長と何度も話すことで話が始まる「古き傷跡の主」
- 受注後に突如事件が発生し、クエスト概要とは全く異なるイベントが展開される「商店からの依頼IV」
一癖も二癖もあり、そのどれもが新世界樹Ⅱで変更、あるいは削除された、あまりにも凝りすぎたクエスト達。
世界樹Ⅱは、以降の世界樹シリーズに比べて新要素が少ないため、その分クエストに力を入れることができたのだろうか。
個人的に一番好きなクエストは、盗賊関連クエストの最初、「擬態と捕食」。
内容としては、1人で樹海に潜り、指定の場所を調べ、予期せぬ戦闘をするというもの。
受注段階から怪しいクエストであることが明言され、危険であると忠告される。
その内の、「衛士を信じる?」という問いかけに「NO」と答えた際のナレーションが特に好き。
クエストの放棄を提示してくるの良いな~
— カワリミ (@AntiDamage303) 2023年7月29日
このクエストに限らずシステムとしてクエスト放棄はできるわけだけど、それはあくまでもゲーム的な都合という側面もありそう。だけれども、このクエストでは冒険者の自然な行動としてのクエスト放棄ができるというのが良い#世界樹の迷宮 #NintendoSwitch pic.twitter.com/vMLn1eBOuZ
一方で、一番極悪だと感じたクエストは「豪傑の過去」。
外れの選択をした場合でもクエスト達成となるため、ナレーションによって間違いに気が付いてもやり直すことができない。
世界観的にはやり直せる方がおかしくとも、失敗したらやり直せる、というクエストがある中でこれは……どうなんだろう……?
「最高の武器」
さらに凝ったものとして、クエストによっては特殊な武器を入手できる。
攻撃力は全武器共通で+210。他の多くの武器とは異なり、来歴など、その武器が特別なものであることが言及される。
高い攻撃力と魅力的な経歴を持つ、素晴らしい武器ではあるのだが、なんと武器種に関わらず速度補正が×0.1という欠点がある。
また、追加効果が無いところも微妙。
入手に素材も資金も要らないため、ものによっては最強クラスの武器を購入するまでの繋ぎとして使えたり、攻撃力では天羽々斬を除くと最高なので99引退99でステータスがカンストすると最高火力を出すために使えたりする……が、手放しに最高の武器であると言い切ることは難しい。
とは言え、クエストで最強の武器が手に入れられると、苦労して条件ドロップ素材を手に入れる意義が薄れるため、ゲーム的にはこのくらいがちょうど良いのかも。
磁軸の柱で探索が便利になる……?
今作のみに登場する「磁軸の柱」。樹海磁軸のように、起動すると磁軸の場所から探索を始められる。
樹海磁軸に似たようで、少し……どころではなく、そこそこ違う。違う点は主に3つ。
①街から磁軸への一方通行
磁軸の場所から探索を始められる……が、磁軸から街へ帰ることはできない。
万が一、アリアドネの糸を忘れてしまうと、帰るのはとても面倒かつ危険。しかしこれだけならば、世界樹Ⅴ・Xのフロアジャンプ機能にも言えることである。
②変位磁軸に未対応
「樹海磁軸に戻る」変位磁石では、磁軸の柱に戻ることはできない。テキストに忠実。
「アリアドネの糸を忘れても、変位磁石があれば大丈夫!」なんて思っていると、痛い目を見る。(1敗)
③一度に起動できるのは一か所だけ
別の場所で磁軸の柱を起動すると、それまで使っていた磁軸の柱は停止し、以前の場所からの探索はできなくなる。
基本的には未踏破エリア近くの磁軸の柱を起動することになるため、クエスト等で踏破済みエリアへ行く際にとても面倒。
以降のシリーズから見ると不便なところも多くある磁軸の柱だが、このような仕様はもしかすると意図されたものなのかもしれない。
世界樹の迷宮シリーズは、探索し終えた場所に再び訪れることで、地図の有難さを感じつつ、以前より楽に雑魚敵を倒せるようになり成長を実感できるところも楽しい点だ。そのため、便利さと楽しい要素を天秤にかけ、適度な不便さを残したものが磁軸の柱なのかもしれない。
職業限定の抜け道
迷宮探索を彩る要素として、Ⅱでは特定の職業を連れている場合にのみ通過できる抜け道がある。
抜け道の先には宝箱がある程度であるため、通過しなくとも進行に問題は無い。……が、良いアイテムが入っているため、ぜひとも通過したいし、通過しなければ地図が埋められない。
当時のファミ通記事によると、「それまでに使ったことのない職業を作って」「新しい可能性に気づいてもらえるとうれしいですね」とあり、パーティメンバーの変更でより楽しく遊べることに気づくきっかけ作りのための施策らしい。
抜け道を通る際のテキストは非常に面白く、かつその職業がいるから通れるのだという説得力があり、職業イメージを豊かにできて良いと思った。
Ⅴの種族スキルが必要なイベントはこれが基になっているのだろうか。
……でも自分は基本的に5人固定パーティで遊ぶので、地図を埋めるために編成を変えるのは面倒だし、結局ペット加入以外でメンバーを変えることは無かったし……うーん…………
……大航海クエストって良いシステムですね!!!
F.O.E.のマップギミック化の進行
今作では、FOEを倒しても経験値が入らない。
入手できる素材もドロップ確率が高くないため、探索時に倒す旨みは少なくなった。
一方で、FOEを回避する手段として、フィールド上のFOEに干渉する探索スキル・フィールドアイテムが登場した。(これは新Ⅱのマックギミックの元になっていそう)
また、低い壁を通過する水色FOE、地図上に映らない紫色FOEの登場や、FOEの移動パターンの増加などもあり、いかに戦闘を避けるかという点、いわゆるFOEパズルは、より歯ごたえのあるものとなっている。
なお、私はダークハンターのジエンドで大体倒した。どれほど倒しても経験値が入らないため気兼ねなく倒してしまった。
治療しかできない施設、公国薬泉院
Ⅰの「ケフト施薬院」は、治療に加え回復アイテム等の購入もできたのだが、Ⅱでは回復アイテム等の購入もシトト交易所の機能となり、公国薬泉院では治療しかできなくなってしまう。
街の医療機関であり、冒険者の治療も行う施設でもあるため、ハイ・ラガードにて重要な施設だと思われるが、パーティやプレイスタイルによっては訪れる機会が少ない。会話は面白いのだけれども……。
ちなみに、Ⅲでは宿屋で治療ができるようになり*2、ケフト施薬院・公国薬泉院に相当する施設はⅢ以降消滅した。
本当に治療するだけなの!?
— カワリミ (@AntiDamage303) 2023年7月19日
そりゃあ3で削除されるよ#世界樹の迷宮 #NintendoSwitch pic.twitter.com/drAmnS5Hbf
助手さんがかわいい
助手さんがかわいい!!!
知らない人だ#世界樹の迷宮 #NintendoSwitch pic.twitter.com/cKrYX2Nas8
— カワリミ (@AntiDamage303) 2023年7月23日
新Ⅱと同じ感覚で遊んでいたら突然知らない人が出てきて驚いた。かわいい。
よく糸を忘れる。かわいくない。
外見が超執刀カドゥケウスシリーズのアンジュに似ているが、「似ている別人」らしい。
その他気になったところ
各施設の会話量が増加
Ⅰにおいては、各施設で「会話する」を選んだ際のテキストは基本的に各"階層"到達時にしか更新されなかったため、文章の量が少なかった。バランスよく冒険者を集めたか?
しかしⅡでは、以降のシリーズ同様に各階到達時に更新されるようになった。
街での出来事を話してくれたり、街の人同士の関わりを聞けたり、ボスがいる階(5の倍数階)到達時にはボスの情報を聞けたり、少しずつ自身のギルドの評判が変わっていく様を聞けたりして、とても良い。
新Ⅱよりクオナの出番が少ない
クオナを店番にできないため、クオナをクエスト以外で見ることは無いし、各階到達時の台詞も無い。
フロースの宿での会話で度々クオナの様子を聞けるが、その姿を見ることができるのはクエストだけ。
そう言えば、「クオナ」という名前も新Ⅱが初出らしい。NPCの名前が全員出てくるのは、まだまだ先の話。
新Ⅱよりエンディング時の台詞が少ない
厳密には、気になったのは台詞の少なさではなく、アーテリンデの台詞が無かったこと。
…彼らは、永遠の命を得たのね。
この街でずっと、語り継がれる命を…
人為らざる姿になり、永遠の命を得たオーバーロードに対して、人であることを選んだものたち。
それとはまた別の軸として、「永遠の命」とは一義的なものではないこと、別の形での「永遠の命」を示す台詞として、これは特に印象に残っていた……のだが、これは新Ⅱで追加されたものだったらしい。
アントニオ(鋼の棘魚亭マスター)が良いキャラしている
いつも荒い言葉遣いで気さくに語り掛け、どこか気の抜けた言動をしている。だが、酒場のマスターとして、締めるところはきちんと締める。
オタク(主語が大きい)はギャップに弱い。
最強アントニオ台詞tier表
名台詞集(個人の独断)です。
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Tier1
「だからって1人で樹海に入れって話がもう怪しいだろうが。」
「ソイツが育って暴れたらお前らの責任って事に成るんだぜ?」
「……ありがとよ(ギルド名)。全部お前らのおかげさ。」
「いいな?俺がお前らの剣を預かって大公宮に出し忘れたんだ。いやぁ、参ったマイッタ。」
「おぅ、若造どもっ!お偉いさんの仕事は終わったのか!良いか、此処にはな…………」
Tier2
「良いねぇ、そんな女連れて森の中をお散歩デートってか!」
「キレイな花、小せぇ生きモン、爽やかな笑顔の男に、来たての良い女……ソイツらぁどれも毒持ちだ!」
「いやぁ、家庭を持つってのは樹海の中よりよっぽど大冒険かも知れねぇよ……」
「おじょうちゃんにいいって言われたからってイチイチ俺んトコに戻って来んなってんだよ。」
「で、俺はメンドくせぇから依頼にしてお前らにこの仕事を回す、と……」
「だから俺ぁ言ってやったのよ アイツらはそんなモンに喰われるタマじゃねぇってな。」
Tier3
「同じように俺たちの今使っている薬や、メシや、酒なんかも誰かが昔、見つけてくれたんだろうなぁ?」
「街の連中だってかなりお前らをたよりにしてるんだぜ。」
「コイツは信頼関係だ、何だカンだ言っても根っこの部分で俺はお前たちを信じてる。」
「俺には全く分からねぇ。遊んで暮らせりゃそっちの方が良いに決まってんじゃねぇか。」
「…この店に顔出さなくなったら承知しねぇぞ。覚えとけ若造どもめ!」
急に自我を出すナレーション
世界樹シリーズではよくある、ナレーションのテンションが急に上がるやつ。
普段は地の文なのに、急にプレイヤーに対して語り始めるのが特に面白い。
街は栄え、冒険者は去る
樹海を踏破し終えたら、冒険者はどうするのか。これは世界樹Ⅱになって初めて語られた。
選択肢の1つとして、今作では「貴族の地位」が序盤から提示されている。
「伝説に残る空飛ぶ城」を見つけた暁には、賞金と"望むなら"貴族の地位が約束されている。しかし、冒険者たちは貴族の地位を望まなかった。
冒険者は土地に縛られることを望まない。「自由であってこその冒険者」だからだ。
世界樹の迷宮Ⅱでは、そのような「冒険者像」が、NPCを介する形で初めて触れられたように思う。
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